◎ 筆順は必ずしも一つとは限らない

 漢字の正しい筆順は一字につき一つとは限らず、広く用いられる筆順が二つ以上ある字もある。時代によっても差異が見られるなど、筆順に明確なルールがあるわけではない。
 しかし、いわゆる筆順は、長い間の筆写によってだんだん固まってきた順序である。従って、これらの筆順通りに書けば筆の運びが自然で整った美しい字の形に書くことが出来る。
文部省の「筆順指導の手びき」(昭和33年)にも、「本書に取りあげた筆順は、学習指導上の観点から、一つの文字については一つの形に統一されているが、このことは本書に掲げられた以外の筆順で、従来行われてきたものを誤りとするものではない。」とある。

 ここでは三省堂刊『楷行草 筆順・字体事典』第二版を参考に一般的に通用する筆順を基に、「楷書・行書・草書」を、動画を利用して書いていきます。

 ◎ 「楷書・行書・草書」に対する歴史と認識

  楷書が実用的に速く書かれるようになって生まれた字が行書で、さらに速く書かれるようになって生まれたのが草書と思われがちだが、これは事実とは多少異なる。
 楷書と草書とは同じ頃に、しかも全く別の過程で生まれたものであり、行書はそれより前か後かははっきりしないが、楷書と草書との中間的なものとして生まれた。楷書と行書とは関連があり、行書と草書とも関連があるが、楷書と草書とは直接関係がないのである。
 
従って、筆順も楷書と草書ではかなり違うものが多い。特に草書に関しては文字のつながりなどに影響されている部分が多くあるので、筆順も別なものとして覚えた方がよい。

 ◎ 違う文字でも草書になるとよく似る場合がある

  楷書・行書でははっきりと違いがわかっても、草書になるとよく似て間違いやすい文字がある。従って正確に書くことも重要であるが、読む場合においてはもしどの字に該当するか判断に迷う場合、前後の文章で区別することも必要となってくる。

私は ぺんてる 筆ペン 極細 黒を利用して書いています。